産地が崩壊して行く中で助け合えること

第3回全国アパレルものづくりサミット@新宿文化学園

おはようございます、ミズイデ(@fashionizumi)です。今月は意外と真面目に書いてます。

では、今日も書きます。

産地が崩壊して行く中で助け合えること

昨年廃業した縫製工場の仲間からアイロンと裁断用の重しとミシン糸を譲っていただきました。

とても助かりました、ありがとうございます。

毎回仲間が廃業するたびに「使えるものがあったら持って行ってよ」ってみんなが同じことを言ってやめて行きます。

暗い話ですみません。

ミシンとか機械の値が付く物は売れるけど、その他のモノはゴミにしかならないからみんなそう言ってくれます。

機械でも何十年も使ったのは鉄クズにしかならないので処分に困るそうです。

そう、鉄屑も今は捨てるのにお金が掛かる時代です。

しかし、僕らのネットワークって素晴らしいんですよ!

鉄屑を処分するのに費用を取る業者はいくらでもいますが、仲間の知り合いで鉄屑を集めている人がいるんです。

その人は鉄屑をお金に替えることができるのでタダ同然で持って行ってくれます。

もちろん本業は違いますよ、だから小遣い銭程度らしいのですがお互いに助かりますよね。

この世は助け合いです。

助け合いってどちらも助かるから助け合いが成り立ちます。はい。

ハードだけではなくソフトも

僕らの仕事は簡単に言うと労働集約型産業です。

ミシンとアイロンと人の手によって作られて行くので人がいなかったら作れません。

よって、人件費の比重が大きいです。

うちは法人なのと事務所兼工場の家賃とか色々経費掛かります、小さくても。

個人で営業されている方の多くは自宅の1室にミシンを置いてなので経費はそれほど掛からないのかなと。

話を戻します。

人件費って毎年上がります。

地域別最低賃金の全国一覧 2016年10月1日より、また上がっています。

まあ、そんな図式です。

縫製工場の隠れた戦力

それは内職屋さんの存在は大変大きいです、とても助かります。

内職屋さんにはボタンとかワンピースのファスナー止まりの上襟ぐり端に付けるカギホック(スプリングホック)とかスナップとかを付けてもらってます。

いわゆる糸と針を使った針仕事です、手縫いです。

プロのお仕事 カギホック付け 内職さんの針仕事に感謝です

Toshiya Mizuideさん(@toshiya.mizuide)が投稿した写真 – 2015 11月 24 3:30午後 PST

僕らは「まとめ屋さん」って言っています。

このまとめ仕事まで内製化している工場もありますが、デキルのは釦付けミシンなどを導入できる基本大きな工場です。

ミシンでまつり縫いがデキナイ素材の場合はどうしても手でまつり縫いになったり、カギホックは手で付けなければならないから内製化は難しいのです。(内職さんに頼むとコストが少し下がるので)

しかし、この内職さんの数も減ってきています。

針仕事がデキル人がいなくなっています。高齢化で目が悪くなったりして結構しんどいしでできなくなるんですね。

若い人で針仕事がデキル人がいたら紹介して欲しいくらいです。

うちは一人の方が内職してくれていますが、やっぱり無理は利かないです。

洋服がたくさん縫い上がっても釦付けとかカギホック付けが間に合わなくなって納められないことも起こります。

だから、生産量が多い工場はまとめ屋さんを何人も持っていないと針仕事がボトルネックになり得るので「まとめ屋さん」は貴重な存在なんです。

で、縫製工場が廃業した時に「まとめ屋さん」を紹介してくれるとその人も助かると思うし、縫製工場も助かります。

でも、それが出来るのは近い地域でいわゆる産地だからデキルことです。

また、昔は人を使って縫製工場を営んでいた人が歳を取ってご夫婦で小さく仕事を続けている方もいらっしゃるようです。

その方たちは、自分に合った仕事を取ってくる、選べる手段が少ないのが現状のような気がします。

せっかくいい技術を持っていてまだまだ元気に働けるのにモッタイナイことだと思います。

仕事をすればみんな活き活きするのになぁと、思いました。

ただ、無理は利きません。

そんな風に僕らは人のつながりを結構大切にして頑張っているんですよ。

洋服を作らない人には分からないでしょうけど。

だから、「この服を作るのにどこが大変なんですか?」って聞かないでくださいね。

今日お伝えしたかったことは以上です。

カテゴリ
ものづくりサミット
タグ
さいたま市桜区神田(ジンデ)
縫製工場
設備投資