なぜqanetaは、縫製をファッションいずみに依頼しているのか
qanetaを立ち上げるにあたって、私はまず「織物の力で、産地・遠州の未来を織りなおす」ことを強く意識しました。
自社工場・カネタ織物でしか織れない超高密度の綿織物は、世界にも類を見ないものです。
けれど、どんなに素晴らしい生地があっても、それを服に仕立てる工程――つまり「縫製」が追いついていなければ、最終製品としての完成度は満たされません。
私は縫製についてはまったくの素人でした。
だからこそ、むしろ妥協はできなかったのです。
自分の判断ではなく、“縫製のプロからの確かな推薦”を頼りに、本当に信頼できる方にお願いしたい。
そうして辿り着いたのが、埼玉県さいたま市に工房を構える「ファッションいずみ」さんでした。
ファッションいずみさんに出会って最初に驚いたのは、工房の代表・水出さんが発信する情報量、そして“見えない部分”への徹底したこだわりでした。
彼らは、服の見た目がきれいに仕上がることを超えて、見えない縫い代の始末や中間アイロンの丁寧な入れ方、指先の動きひとつひとつにまで意識を行き渡らせています。
それはまさに、私たちが織物づくりで目指している「誰にも真似できない技術を、日常のように積み重ねる姿勢」と同じ匂いがしたのです。
ある方が「誠実の源泉」と評していました。
まさにその通りだと感じます。
qanetaが求めているのは、“ハレの場で目立つ服”ではなく、“日々の中で、ふとしたときにじわっと感動が湧き起こるような服”です。
それには、工程のすべてに誠実であることが絶対に必要でした。
- 見た目で伝わる「運針の細やかさ」や「エッジの正確さ」
- 見えない部分で支える「袋縫いや縫い代の始末」
- シャツを形作るために欠かせない「中間アイロンの多さ」
- 角をきちんと折り、確かに縫い進めることの積み重ね
それらを、黙々と丁寧にやり続ける。
そして、技術だけではなく“なぜそうするか”という哲学まで共有してくださる。
その存在が、ファッションいずみさんです。
qanetaにとって、ファッションいずみさんは「ただの外注」ではありません。
遠州の生地と、埼玉の縫製――土地も職域も違う私たちが、一着の服に込めた思いを“共振”させるための大切なパートナーです。
共につくるこの服が、「産地の技術とは何か」「本物のものづくりとは何か」を、静かに、けれど確かに語ってくれると信じています。