社長ブログ
「いせ」とは、洋服を立体的に仕立てる重要なテクニック
- 投稿日:
- 2015-08-05
- (更新日:2025-07-17)

さいたま市桜区は晴れています、現在の気温34℃です。
西新宿の縫製工場に8年修業中の時だけ都民でしたが、あとはずっと埼玉県民のボクこの暑さが普通なんです。しかし、暑いね(笑)
さて、今日は縫製職人が良く使う言葉「いせ」について書いてみます。
縫製用語「いせ」とは?
布地を立体的にするためのタックとか、ギャザーにならないように布地の一定方向の寸法を短くすること。
JISハンドブック 繊維(2006)
そうなんです、洋服を立体的に仕立てる時に使うテクニックの一つでもあるんです。「いせ」には3つの使い方があります。
- いさる、いさってる
- いせる
- いせこむ
いさる、いさってる
これは意図していないのに生地がズレてしまった状態を指します。
いせたかったわけじゃないのに、いさっちゃった──そんなときに使う言葉です。
たとえば本縫いミシンで、上の生地は押さえによって手前に、下の生地は送り歯によって向こうに送られます。
しっかり手でコントロールしないと、下の生地が中に入ってしまい、同じ長さだったはずなのに、縫い終わると下の方が短くなってしまう。
すると、そこにシワができて見た目が悪くなるので、縫い直し確定です。
いせる、とは
「いせる」は、意図的にいせる操作のこと。
縫製職人がよく使う場面といえば「袖付け」です。というか、いせなきゃ袖が付けられないんです。
たとえば袖山(袖の山の部分)は、前後10cmずつ、見頃より袖の方が長く作られています。
素材によりますが、通常は前後あわせて2cmくらいのいせ分が入っています。
いせ方の例(袖山の場合)
- 裁ち端から3mmと8mmの位置に2本のミシンをかける(捨てミシンのように)
- 下糸を引いてぐし縫いのように縮める(「手ぐしを入れる」とも言います)
- 均等にいせながらアイロンでなじませる
こうして準備が整ってから袖付けをすると、ふっくらとしたきれいな袖山ができあがるんです。
このとき、2本のミシンを入れるのがポイントです。
いせ込む
「いせ込む」は、コロす(アイロンで伸びた布を縮める)という意味合いでも使われます。
たとえばバイアスで縫って伸びてしまった部分を、アイロンで「コロして」整える感じ。織り糸の密度を少し濃くするイメージです。
たとえば…
- ポケットのフラップを少しだけいせると、自然に丸みが出てきれい
- ジャケットの前端も、見返しにいせ分を付けていせると、品のある仕上がりになります
つまり、「いせ込む」もまた、洋服の完成度を上げるための大事な一手間なんです。
まとめ
「いさってはいけない」場所もあれば、「いせなきゃ付かない」パーツもある。
いせミシンもあるけれど、やっぱり最終的には職人の手加減がものを言います。そしてその方が確実で早い。
こういう細かな技術や勘所は、やっぱり現場での経験で育っていくんですよね。
トータルできれいに仕立てられる縫製職人って、そうやって磨かれていくものなんです。
